
【滞納者にもメリットを与える?】
立退き交渉や債権回収でもっとも効果的な方法は、利益誘導型の交渉です。
すなわち滞納家賃の一部免除・分割払い・引越し代金の提供など、
滞納している人にも有利な条件を提示することです。
わたしは通常、事前に大家さんの了解を得ておき、利益誘導型の条件を
滞納者の人に提示する効果的なタイミングを常に見計らいます。
そして、利益誘導型交渉の最終段階では本人に直接会い、
家賃の支払いや建物の明け渡しの確約書などの書面(本人に必ず署名
押印してもらいます。)を必ずとり、相手に心理的プレッシャーを与えます。
次に実例をあげてお話します。
■実例3
わたしが建物を管理している大家さんのご親戚の依頼でした。
内容は築40年以上の古いアパート(6世帯)を建て替えたいので、
立退き交渉をしてほしい。
しかし、そのなかのCさんは毎月の家賃4万5千円を
2年間にわたって滞納し、合計100万円近く
滞納しているとのことでした。
このケースではわたしは、Cさんとすぐに会うことができました。
年齢は65歳ぐらい、態度は非常に横柄。
家賃を2年分も滞納しているのに、かなり威張っていました。
現在、無職。年金以外の収入はない。かつ年金を担保に
消費者金融から借金があり、現在その返済も出来ない状態に
なっている。更に悪いことに年金を担保に借り入れをしているため、
国の福祉手当の支給も受けられない。
身内とは絶縁関係なので、連帯保証人や身元引受人もいない。
当然、引越し費用もないし、たとえお金があっても
部屋を貸してくれる人がいるとはまず考えられない。
本当に八方塞がりの最悪の状況でした。
Cさん:「あんたさ~。俺に出て行けといったって、
誰が俺に部屋を貸してくれるんだよ!
追い出したいなら部屋見つけてくれよ!」
長倉:「Cさんに部屋貸してくれる殊勝な大家さん、
確かにいるわけないよね~」
わたしはそんな会話や、Cさんの身の上話などを聞きながら、
立退きの話を何度か行いました。そんなある日、
わたしはCさんが週に数回外泊していることに気がつきました。
Cさんに聞くと、知り合いの家に泊まっているとのことでした。
そこでわたしはある提案をしました。
「大家さんに頼んで現金15万円調達するから、
そのお金を知り合いの人に渡し、しばらく間借りさせて
もらったらどうか?裁判でも起こされて追い出されるよりは
良いだろう。今後のことは引っ越してから考えたらどうか?」と。
Cさんはわたしの提案を受け入れました。
明け渡しの確約書と引き換えに15万円をCさんに渡し、
1週間後に明け渡しを完了しました。
その後、Cさんがどうなったかはわかりません。
ワンチャンスを活かせた、とっても幸運に恵まれた立退き交渉でした。
つづく