
【建物(モノ)はなぜ?壊れてしまうのか? その3】
~タイタニック号はなぜ?沈没してしまったのか?~
「構造物の巨大化は失敗の歴史!!」
現在、建物は高層化・巨大化しています。
建物の歴史は天まで達するような塔や、壮大な寺院を
造りたいという人間の欲望の歴史でもあります。
しかし、それは、悲劇的な破壊や崩壊の歴史でもありました。
建物だけではありません。橋や船舶、飛行機なども常に
巨大化の過程では、同じ破壊と悲劇の歴史を繰り返してきました。
鋭利な氷山に衝突して沈没したあのタイタニック号も、
現在の研究によると、沈没の原因は大きさそのものに
あったと言われています。
タイタニック号は不沈の巨大豪華船として、世界中から注目を
浴びながら、1912年4月10日に処女航海での、
大西洋横断の最短記録を目指して出発しました。
出発は、予定より1ヶ月遅れて、さらに当日の出発時間も
1時間遅れてしまいました。
その為、2度にわたって氷山の警告を受けていましたが、
減速もしなかったため、氷山を発見した際には舵を切りましたが、
避けきれず衝突してしまいました。
数十年後引き上げらたタイタニック号の船体の標本を
分析する事によって、沈没の真相が明らかになってきました。
その結果、沈没の原因が氷山に衝突した為
だけではない事も分ってきました。
その中で興味深いのは、タイタニック号の船体に使われていた
鋼材そのものに、大きな欠陥があったと言う指摘です。
タイタニック号の船体の鋼材を分析すると、
鋼材に含まれる、硫黄と燐(リン)が異状に
多かったことが分っています。
これはいったい何を意味するのでしょうか?
鉄は硫黄や燐が多いと、材料は非常に脆く、壊れやすくなります。
即ち、タイタニック号は、
氷山があるような低温時には、非常に脆い材料(たとえば
ガラスの様に、硬いが壊れやすい)で造られていたと言う事です。
この時代はまだ、鉄などの詳しい性質が分っていないのに、
規模の拡大(巨大化)を進めた為に起きた
人為的な悲劇だといえます。
過去、人は「モノ」をスケールアップする(大きくする)とき、
以前に成功した設計に基づいて「モノ」を
大型化・巨大化させてきました。
しかし、過去に、今、うまく行っている(現在まで壊れていない)
からといって、それを模倣して新しいものをただ大きくしても、
常に成功するとは限りません。
失敗が無い(現在まで壊れていない)ことは、
最初の設計が完全であることの証明にはならないからです。
なぜならば、表面化していない失敗(潜在化している・
まだ起きていない)が、これから起きる条件(自然災害・
人為災害)によって引き起こされる可能性もあるからです。
規模を拡大した場合なぜ?うまく行かないのか?
に付いて最初に気がついたは、
あの天才ガリレオ・ガリレイ(1564年~1642年)でした。
同じ材料を使った場合、構造物(四角形)の大きさを2倍にすれば、
重量(体積)は8倍(2×2×2)になります。
これに対して、この8倍になった重量を支えなければならない
構造物の断面積は4倍(2×2)にしかなりません。
すなわち、4倍の断面積で8倍の重量を支えなければ
ならないことになります。だから、構造物は耐えられ
なくなり破壊してしまいます。
これは、「平方立法則」の原理と呼ばれており、
車両や船舶、飛行機などを設計する場合には
不可欠な構造理論です。
現在、建物や、橋、飛行機などの構造物は経済性を追求し、
より巨大化・高層化しています。
※現在世界一の高層ビルは
台湾のタイペイ101(101階建 509m)です。
日本で一番の高層ビルは
ランドマークタワー(70階建 296m)です。
わたしたちは、本当にこのまま「モノ」を
スケールアップし続けて言って大丈夫なのでしょうか?
地球には過去、多くの巨大植物や巨大動物が
生息していました。それらの巨大生物はが絶滅した原因には、
さまざまな理由が上げられています。
その一つの要因に、巨大化した自分自身を構造的に
支えきれなくなった事があげられています。
最近の相撲取りは、体が大型化したため自分自身の
体重を支えきれず、怪我が多くなり十分な相撲を取ることが
出来なくなってしまった現象とも似ています。
過去、地球の歴史において、巨大化は
生命の生き残り競争では、敗北し自然淘汰される運命にあります。
わたしたちの造り出した構造物は
今後いったいどの様な運命を辿るのでしょうか?
心配です!!
つづく
次回は、
【破壊は突然やってくる!】~人の「疲労」と物の「疲労」は同じメカニズム!!
スペースシャトル・コロンビアはなぜ?空中分解してしまったのか?
というテーマでお話します。