
【建物(モノ)はなぜ?壊れてしまうのか? その4】
~人間の「疲労」と物の「疲労」は同じメカニズム!!
~スペースシャトル・コロンビアはなぜ?空中分解してしまったのか?
今回は「疲労」をキーワードに
「モノ」が壊れるメカニズムをお話したいと思います。
本題に入る前に、スペースシャトルの事故についてお話します。
スペースシャトルは過去2回空中分解し
合計14人の人々が亡くなられています。
1回目は1986年1月28日、「チャレンジャー」号が
打ち上げ後73秒で爆発しました。
原因は、打ち上げ当日は気温が低く、固体ロケットブースター
内部に使用されている、Oリングと呼ばれる部品が凍結していた為に、
事故を引き起こしたと報告されています。
2回目の事故は2002年2月1日に起きました。
原因は、打ち上げ時に左翼で発生した耐熱タイルの
剥離トラブルが原因と言われています。
どちらの事故も物理的な原因はある程度解明されています。
しかし、実はその裏にはもっと根本的な問題が
あったと言われています。
それは、
NASA職員の肉体的な疲労の問題です。
特にチャレンジャー号の爆発事故は、
打ち上げ直前、Oリング(ゴム)製造元やNASA職員が、
極度の睡眠不足のため、注意力が散漫になり、
整備不良を見落としたことが、
事故の根本的原因と言われています。
この「疲労」の問題は、モノの破壊を考える場合、
大きなキーポイントになります。
「モノ」の破壊で最も恐ろしいのは「疲労」と言う現象です。
疲労は繰り返し作用する力により、物質の弱くなった所に
力が集まり(応力集中)、ある日、突然ほとんど前触れも無く、
破壊を引き起こすメカニズムです。
わたしたに人間にたとえると疲労骨折
に似ています。
世の中で起きる破壊現象の大半は、
疲労によって引き起こされる応力集中が原因です。
この現象は、飛行機の墜落事故・船舶の沈没・橋や
鉄橋の崩壊など数々の悲劇的な事故を起こし、
過去にたくさんの人々の命を奪ってきました。
疲労は材料の一部に、
ほとんど目に見えない小さなクラック(ひび割れ)
が発生し、次第に成長してゆく現象です。
しかし、材料全体としては目に見えるような
変化はないため見過ごされてしまいます。
そして、ある一定のレベルまでクラックが成長すると、
突然恐るべき破壊を招きます。
人間でいえば
「癌」は目に見えて、徐々に進行しますが、
「脳出血」などは何の前触れも無く突然起こり、
人の命を奪ってしまうのに似ています。
人間の体にも共通する「疲労」・「応力集中」という
2つの現象を防ぐことはなかなか簡単には出来ません。
自覚症状が無く発病する病気については、
定期的な健康チェックを行うしかありません。
疲労によってモノが壊れるのも、人が病気になるのも、
基本的には同じメカニズムによります。
建物においても・人においても、長期的な視野に立ち、
メンテナンス・診断を継続して行なってゆく事が、
悲劇的な破壊を免れる唯一の方法です!!
つづく
次回は【建物(モノ)はなぜ?壊れてしまうのか? その5】
~法隆寺の五重塔はなぜ?地震に強いのか?1300年の謎~
と言うテーマでお話します。